内閣府認証NPO法人 Green Help Japan (GHJ)

宝塚歌劇から想像出来る世界 [31]

2011年3月3日

NPO法人グリーンヘルプジャパン

代表理事 近藤和子

 

花組

 主演・・・真飛 聖、蘭乃はな

ミュージカル・ロマン

『愛のプレリュード』  作・演出/鈴木

[解 説]抜粋


自由奔放に生きてきた男とやんちゃなお嬢様が紡ぎ出す、ピュアな愛の物語。

 

各地を転々としてきたフレディーが港町サンタモニカにやってきた。彼の仕事は命を懸けてクライアントを守ること・・・。ここで舞い込んできたのは、令嬢キャシーのボディーガード。ふたりは次第に心を許し合うようになっていく。しかし、それも束の間ふたりはある事件に巻き込まれ・・・。

 

鈴木圭氏の宝塚大劇場デビュー作品。

 

レビュー

Le Paradis!!(ル パラディ)』

聖なる時間(とき)  作・演出/藤井大介

 

[解 説]抜粋


「華」「夢」「時」をテーマに、華やかで夢があり、「人生」はただ一度、そんなちょっぴりほろ苦いイメージを持つパリの魅力を現代的な視線で捉え、パリの各地の色、香りから連想する場面で構成されている、大人向けのレビュー作品。

 

[想像出来る世界]

 

今回はトップ真飛 聖さんのさよなら公演でした。と同時に、鈴木圭氏の宝塚大劇場へのデビュー作品ということが、背景にある公演です。いつもの事ですがお別れという内容を含む公演では、そのトップの方の私情的なものも表現されていることも多く・・・、人生をかけて生きてきた宝塚歌劇団生活の集大成的な部分も漂い・・・、また今回一緒に卒業される他の生徒7人の人たちもこれで終わりという思いの中で・・・、演技も今までとは違う複雑さが伝わってきます。

 

送り出し、後に残る生徒さん達の、座長的存在である組のトップさんが卒業するということは、私たちが思っているよりも計り知れない、思いが個々それぞれの胸の中に漂っているようで、その感情が演技の中に微妙な形で溶け込み・・・、その作品の仕上がりに、料理でいえば絶妙な味となって加わり、その組のトップさんとが作り上げてきた人間関係までもが美味となり、今回のこの作品のテーマは「サンタモニカに吹く風」ということもあり、私的には、湯気の出ている出来たてのカップスープをコーヒー感覚で口にしているときのような雰囲気を感じました。それに加え、卒業される真飛 聖さん他7人のファンの人たち、入学当時から支援してきた人・最近ファンになった人たちのそれぞれの感情が別れるという現実を受け止める熱い思いも劇場内を濃く深く霧となって漂い、すすり泣く声も悲しさを増します。

 

こうした環境の中で、真飛 聖さんは出来るだけ明るく、風のように、そしてしっかりと役になりきって演じられる光景、それを支える花組の人たちの自己責任的な自覚した各自の確かな演技には感動しました。

 

最初の内はこうした状況の中で、私もお別れする一人として感情に浸りながら・・・、早すぎるお別れのような気がして・・・、何故か、惜別の思いを隠すことが出来ません。その感情に引きずられながら観劇してしまいますが・・・。多くの思いを乗り越えて、1回1回の公演に全身全霊で注ぎ込むトップさんの姿勢・それに続く全員の演技に引き込まれている内に・・・、ミュージカルの『愛のプレリュード』、更には、レビューの『ル・パラディ』という作品が訴えている世界が見えてきました。

 

いつもの想像出来る世界を追っていますと、『愛のプレリュード』では、2年5年は2千年5千年の時間であり、その間変わらず流れてきた時の中で、変わらずあり続けたものは、風であり、雲であり、海である・・・。その中で、お金に支配された時代があり、今もその時代であるが・・・、発明開発という科学の進歩も、お金という渦の中に飲み込まれている現在、「お金より命!」と訴える台詞の中に、こうした社会の構図の中で、生き地獄のように生き続けている人類に発している願いでもあり、警告でもあるような気がしてきました。盛り沢山に入れ込まれている場面の中から、観劇している側の思考がどんどん刺激され啓蒙されていくのを実感しました。背景に常に、水色の8つの光とそのまえに3つの光の照明は、私達にこんな事を訴えかけているようでした。

 

それは、新しい時代の思考は右脳と左脳がバランスを取って働くという。感性が豊かになるという。これは、星のエネルギーの影響によると言われている。その星は、すでに、万物に平等に降り注いでいるという事を・・・。

 

最後に緞帳に映し出された、瑞雲と雲はまさに新しい時代の到来を知らせているようでした。そして、『ル・パラディ』では、100年に一度のレビューという歌詞がありますが、今までの愛をテーマにしてきた歴史を塗り替えるような、「華」「夢」「時」をテーマとした今回のレビュー、歌詞の中で、小さな水色の星が集まって・・・、今までの太陽の時代に別れを告げ、新しい星の時代になった星たちが過去の太陽のエネルギーを私たちに降り注いでくれ・・・と頼む場面があります。

 

個が目覚める時代が到来していることを実感出来るような感覚が伝わります。世界で動いている動きの流れの中からも何故か同じものが感じられるようになりました。

 

今、雪組は対立と憎しみの解消が、星組の中日組は二元論ではなく中道の世界、そして愛の終焉が、バウ・日本青年館組は新しい時代のエネルギーの擁護と育成が想像でき・・・。 

 

97年目の宝塚歌劇の奥深さを感じます。