内閣府認証NPO法人 Green Help Japan (GHJ)

宝塚歌劇から想像出来る世界 [28]

2010年11月12日

NPO法人 グリーンヘルプジャパン

代表理事 近藤和子

 

星組
主演・・・柚希礼音、夢咲ねね
レビュー
『宝塚花の踊り絵巻』 秋の踊り         作・演出/酒井澄夫

 

[解 説]抜粋

 

菊の宴、花紅葉など、秋の美しい風情を中心に、白い雪景色が桜花咲く春になるまでを綴った、日本物レビュー。歌舞伎のエッセンスも盛り込み、格調高く華やかに……。

 

「想像出来る世界」

 

久々の日本物レビューの、華やかさに、身も心もほぐれ、舞台から醸し出され、劇場内を包み込む世界の中に、自然と引き込まれて行く自分を感じながら……。

 

秋~冬~春と季節が移り変わるそれぞれの場面を表現している演技を観ていると、いろいろな事が思い浮かんできて、異次元の懐かしい世界に会えたような気がしたのは私だけでしょうか?

 

日本の新しい時代の夜明けが来たことをはっきりと告げているようなレビューでした。古くからの言い伝えに、新しい時代が到来すると、日本海に沈んでいた遠い昔のエネルギーが再び現れるという。

 

おとぎ話の世界と捉えていました。今回の踊りの中に、日本海の佐渡を背景に繰り広げられた踊りがありました。

 

波の詩(おけさ幻想)の場面 

 

*哀調ある「佐渡おけさ」の調べに乗せて、波と風と大空をイメージした男女が踊る。天の川と荒海をモチーフにした舞台。

 

*佐渡の荒波は激しさを増し、風に揺れ波に揺れ、砕け散ったしぶきは星々となってゆく。

 

この場面を観ていると、おとぎ話と思っていた世界が現実味をおびてきて、心が豊かになっていくのを感じました。

 

余談ですが、最近、日本海から竜巻が発生しましたが、竜巻を起こす雲は発生していなかったという不思議な事が起きています……。なぜか連想したくなる心境です。

 

とにかく、美しい夢の世界の舞台に引き込まれながら、観劇しているのですが……。

 

新しい時代は感性の時代とも言われています。この流れを、人は右脳の時代から左脳の時代に入り、今この時代は終わろうとしており、この時代は統制的な直 線の氣=武道の氣が優勢であったという。新しい時代は地球上ではじめて、右脳と左脳がバランスよく働く時代が来るというは話を聞いています。この新しい時 代には、感性と理性がバランスよく働くようになり、個々の考えを基本とされるようになるという……。こんな話を信じている一人ですが……、場面は菊の宴= 菊慈=騾雨=山詩(麦や節・富山県五箇山地方の民謡もとは石川県輪島地方の粉ひき歌)=波の詩(おけさ幻想)=月と尾花=雪=早春=花吹雪=花の踊り絵巻 と展開。

 

まるで、この右脳~左脳そして新しい時代へと流れる数千年の時が、目の前を風のように通り過ぎているかのようでした。

 

出演者の皆さんも、その場面・場面、時の流れの風を伝えているような、美しい演技に感動しました。そして、更に、雪の場面で、白い着物を舞台で脱ぎ、桜 の模様の着物に変わる早変わりの場面では、自らが脱皮・自らが自覚というような思いが浮かび、未来に生きるエネルギーが注入されたような気がしました。新 しい時代は個がめざめ循環型の社会になるという。その訪れを願い祝っているような感じのする日本ものレビューでした。心の底から喜びが込み上げました。

ミュージカル
『愛と青春の旅だち』    脚本・演出/石田昌也


[解 説]抜粋


1982年に公開された、リチャード・ギア主演による同名のアメリカ映画。青春映画の世界初のミュージカル化。シアトルに住むザックは、パイロットにな るため、父の反対を押し切って海軍士官学校に入学する。厳しい訓練をこなしながら、町工場の娘との恋、同期との友情を育みながら成長する青年の姿を描いて いる。

 

「想像出来る世界」


海軍士官学校で繰り広げられる厳しい訓練を通じて、憎悪の中から育つ人間愛、友情。愛することを知らない青年、愛に目覚めていく人、偽りの愛に傷つく人など……。

 

日本物レビューの花の踊り絵巻の後ということもあり、心の真髄にせまる、五感すべてが刺激されるような気がする濃厚で、力が入るような感じのする作品でした。

 

最初のうちは、訓練の場面は余りにも激しい台詞に、気が遠くなるような気がしたり、頭が痛くなったり、辛くなったり、作品に込められた思いを汲み取ると いう余裕などありませんでした。ただ苦しくて辛い思いが先行してしまって……。そして、ただただ、感心し続けたのは、皆さんの演技力でした。台詞がなくて も、舞台の後で演技している人たちの感情もしっかり伝わり、観客席から自分が訪問している感情になり臨場感が増したのも心に残りましたが、特に柚希礼音さ んと凰稀かなめさんとの演技は、最初は、厳しさと耐える感情しか感じれませんでしたが……。観劇を重ねていくうちに、お互いの間に育っていく感情。訓練を 通して、精神まで変えようとする深い愛を感じる事が出来るようになり……。

 

かつて日本は牛を神の生けにえとして捧げた神道の国であった。ある時から、牛を食することを否定した仏教の国に変わった。 牛を食べる人はエタといい虐げられた歴史がある。舞台の背景を観ていると、天橋立や琵琶湖を連想しつつこんな事も思い出ださせる演技でした。

 

レビューが横の波、作品は縦の波。その二つの波は交じり合い、輪となる気がしました。