内閣府認証NPO法人 Green Help Japan (GHJ)

宝塚歌劇から想像出来る世界 [22]

2010年4月14日

NPO法人グリーンヘルプジャパン

代表理事 近藤和子

 

花組
○主演・・・真飛 聖、桜乃 彩音
ミュージカル
『虞美人』-新たなる伝説-
~長与善郎作「項羽と劉邦」より~
脚本・演出/木村信司

 

[解 説]抜粋
中国の最も優れた史書と言われる「史記」の中で、秦の始皇帝死後の覇権を争った項羽と劉邦の戦いを軸に、項羽と虞美人との悲恋を描いたドラマティックな 物語は、いつの時代も多くの人に愛されてきました。宝塚歌劇では白井鐡造作・演出による「虞美人」が1951年に上演される。今回は、原作である長与善郎 作、戯曲「項羽と劉邦」から新しく構成し直し、また音楽・装置・衣装を刷新した、一本立て大作ミュージカルとなります。より現代的にアレンジした、新しい 『虞美人』を壮大なスケールでお送りします。


[想像出来る世界]
私は、この度の公演で脚本家は「より現代的にアレンジした」という点で何を伝えたいのかという事に注目しておりました。作品と同時代の日本は、卑弥呼・壱与・三雲井原遺跡・邪馬台国・大和朝廷ということが思い出される時代でした。

 

初日を迎えるまでは、いろいろ想像しておりましたが、初日の観劇は想像していた歴史感からのメッセージだけではない、大きくて深い世界があるという事に 気がつきました。花組一丸となって、進められる演技から、この作品に込められている思いが劇場一杯に広がり、一本立ての大作ですが時を忘れてしまう程でし た。また、舞台装置・衣装もすばらしく、宝塚歌劇でしか見られない世界です。


◎舞台に常設された2匹の龍と雲から、
新しい時代が始まる時、2匹の白龍に観音が乗って現れるという話を思い出しました。今回は、衣装にも白龍の刺繍があり、時の終わりと初めの真理を伝えているようでした。背景の空と雲も場面によって変化して行くのを見つめているだけで、何かを感じます。


今年から、常に雲が出てきます。紫雲が出てくる時は心から癒されます。

 

初日は何となく納得出来て、それなりに満足していたはずでしたが、2回目の観劇から、迷路に入ったような気がしてきましたのは始めての経験でした。

 

何を理解するのか、どう解釈すれば良いのか分からなくなったのです。毎回、1秒たりとも狂わないような演技を観劇しながら、台詞から知る思考の世界は、 まるで宇宙遊泳しているような感覚になりながら、つたない頭をフル回転して、隠されているのであろうメッセージを探していると、ふと、分かる事がありま す。

 

今回は苦労をしましたが自分なりに得心できた時は、安堵感が湧き出ました。

 

◎左右対称の龍は人間の左脳と右脳の営みを示し、雲は魂に通じる脳の営みであること。左脳人間と右脳人間。捧げる女性と求める女性。学問を極めた知恵を、 自己実現に使う人間と治めるために使う人間。出世のためには手段を選ばない人間と、夢と希望を抱いて信念に向って生きる人間。何時の世も共通している民衆 心理。華やかなドラマティックな物語の中に、こんな人間模様を演出してある。この相違反する台詞を聞いていると、禁断の木の実を食べたことから起きた左脳 思考の時代はここで終わり、どちらの立場も同じように 苦しみ悩み、心の晴れる時はなかった。

 

この現実を2000年という時間に当てはめてみると、今現在の地球で起きている苦悩と重なってくる。その時、信じること、裏切らないこと、愛する心と、 夢と希望を持っていることの世界にこそ未来が開けると伝えているような感じを受けました。私達は何時も考える時、完成、積み上げ、成就などを求める心が根 底にあるような思考の仕方を身に着けてきている事に気づきました。過去の思考を重ねることなく、未来への思考を手繰り寄せることなく、この瞬間の中で、も う少し、気を楽にして生きる事も大切であるという事に気づいた時、楽になりました。観劇の姿勢が落ち着いた時、この役を演じている皆さんの苦労が共有出来 た様な気がして来ました。それぞれの役を一生懸命に演じている中に、今までに感じた事の無い、大きさと深さを感じました。今年は、星組は魂に届く演技を。 雪組は神に届くまでの人間感情を演技。そして、花組での世界……学びの多い年です。

 

真飛 聖さんの演技の大きさと深さには毎回感動の連続でした。今回で何度も脱皮できたように思いました。これだけの大作で卒業出来る桜乃 彩音さんは幸せな人だと思いながら……。壮 一帆さんの別人のような演技にも驚き、責任というオーラが漂っているのを感じつつ戦いの場が剣舞だったのは、素晴らしかった。項羽の最後の場面から、スサ ノオを連想するのは私だけでしょうか?

 

意味の深い作品だったと感じています。